今回開催される東京公演は、皆さんご存じの通り11月25日(水)、同27日(金)の両日どちらも午後7時開演で。会場は東京オペラシティ・コンサートホール<タケミツ・メモリアル>で開催されます。この場所での開催にも井﨑氏のこだわりがありました。東京にはサントリーホールをはじめオーチャードホール、東京芸術劇場などの音響や設備を誇る数々のホールがありますが、このオペラシティ会場は氏が経験しているハンガリー、そしてヨーロッパのホールや教会、とりわけ合唱や声楽作品を演奏するための音響(=残響)に一番近くて適していること、客席の収容人数が1,600人と他の2,000人規模のホールのように広すぎずに席のお客様ひとりひとりに過不足なくステージ音を届けられること、楽屋とステージが近く、またお客さまにとっても交通の至便がよく、11月後半の寒くなりかけの時期に外気に触れることなく暖かく会場に入れることなどの細かな点に至ることです。

また今回の楽曲に対するこだわりは相当なようです。ハンガリーと言えばオーケストラ、そして国立歌劇場にオペレッタ劇場がこれまで来日したことが日本の音楽ファンには知られていますが、これに加えてハンガリーが『合唱王国』であることもとても有名です。来日した合唱団公演の話題以上に、日本の多くの合唱団ではこれまでバルトークやコダーイの合唱作品、そして現代の作曲家の作品が日本中の多くの合唱団で歌われ、また曲もそれらの作曲家に数多く委嘱されています。これまで“ハンガリー国立フィル”“ブダペスト祝祭管弦楽団”“ハンガリー放送交響楽団”等の来日があったそうですが、一般的によく知られた作品の披露のみにとどまりこうした楽曲の演奏が全くなかったことから、氏の選んだ11/27メインプログラムはコダーイ作曲「ミサ・ブレヴィス」でした。日本ではまだあまり知られている曲とは言い難い曲ですが、これまで氏は東京アカデミッシェ・カペレ、尚美音大オーケストラ&合唱団での演奏の経験を通じて、今回のソルノク市響の演奏にふさわしいプログラムと考えたそうです。第二次世界大戦の戦禍を逃れながら作られた作曲家の「平和に対する祈り」を込めた作品は、繁雑さに混乱する現代社会にも通じるテーマを持つそうで、また加えてもう一人のハンガリーを代表する作曲家バルトークが亡命先のアメリカでの病床の中、最後の17小節を残して夭逝した時の作品ピアノ協奏曲第3番には (左;バルトーク、右;コダーイ→)故郷ハンガリーへの強い思いとメッセージが込められているそうです。1995年の国際指揮者コンクールの優勝後に活動の中心をハンガリーに置き続けている井﨑氏の心中にも、このハンガリーの代表的な作曲家の作品を演奏することに大きなこだわりがあっての選曲だそうです。また氏のこれまでの14年間に渡るハンガリーでの演奏活動の集大成であると話しておられました。

またもう一つの大きなトピックがハンガリーで人気随一のソプラノ歌手ロスト・アンドレア女史との演奏です。女史と井﨑氏の初の共演は既に後援会報誌でもお伝えしたようにソルノクでの「プリマ賞受賞記念ガラコンサート」でのソルノク市響とのオペラアリア演奏で、この時が初の共演であったにもかかわらず演奏中の相性が良かったことや女史がこれまでに何度も来日経験があり、すっかり親日家であったことが挙げられるそうです。井﨑氏の話によると、打ち上げの席で彼女が茶そばのファンであることを聞きつけ、「日本で美味しいそばをご馳走してあげる!」との一言に、女史がふたつ返事でOKして演奏旅行同行が決まったとのこと(笑)、こんなところにも親しみを感じますね。

ロストさんと言えば、これまでミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、ザルツブルグ音楽祭、フランス・バスティーユオペラ、コヴェントガーデン王立歌劇場、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場等での人気実力歌手としての数々の演奏活動に加え、我が国へもハンガリー国立歌劇場公演、新国立劇場への出演、サイトウ・キネン・フェスティヴァル、小澤音楽塾などへの登場と、オペラ歌手として数々のオペラに登場してその名を知られ日本にも多くのファンの方がいらっしゃいますが、実はオペラアリアコンサートとしてソロリサイタルを日本で行うのはこれが初めてだそうです…これは意外な気がしますね。今回のコンサートにはこれまで彼女がオペラの主役として歌い続けてきた役どころであるノリーナ(ドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」)、ジルダ(ヴェルディ「リゴレット」)、ヴィオレッタ(ヴェルディ「椿姫」)等の自身が最も得意とするアリアに加え、オペレッタの役どころであるシルヴィア(カールマン「チャールダーシュの女王」)、ハンナ(レハール「メリー・ウィドウ」)、ロザリンデ(シュトラウス「こうもり」)が披露されます。これはご本人曰く極めてまれなこととか…!? 熟練の役どころの歌唱に、ブダペスト・オペレッタ劇場や日本オペレッタ協会での公演指揮を任されてきた井﨑氏の棒と手兵ソルノク市響とのコラボは一体どんな名演を残すのか…これは本当に楽しみな公演です。

またアンドレアさんのアリア・コンサート、そしてソルノク市響のコンサートには両日とも大きなサプライズとして特別なアンコールが用意されているそうです。これは後援会会員の皆さんにのみ打ち明けられた井﨑氏からの極秘“得”情報だとか(笑)。ぜひ演奏会終了まで楽しみたいですね。